よく誤解されるピーカーブーの構えMike-tyson.jpgこの画像が皆がよく周りが間違え、「ピーカーブー」と言ってしまう構えですね。これは実は背の低いマイク・タイソンの為に彼の伝説級の天才コーチ、カスダマトが考案した構えです。タイソンはこの画像の構えと、ピーカーブーの構えを使い分けて戦っています。要するに、マイク・タイソンは2種類の構えを使い分けて戦っているという事です。
 004.jpg日本では多分この「はじめの一歩」という漫画がこれがピーカーブーだという間違った情報を提供しているせいだと思います。この作者の書くピーカーブーは構えから戦い方まで誤解して間違っています。上の画像みたいにタイソンの、いえピーカーブー使いの構えは通常よりも脇が開いて肘が横に出ているのが特徴なのに対してこのアニメの画像は脇を思いっきり絞めています。これではピーカーブーが使いこなせないのではなく、ろくに使えません。この画像の隙を説明するならば、ボディが打たれやすい、パンチに余分な角度がついて攻撃の読みやすいテレフォンパンチになりやすい。それと正しい構えと比べてより前傾姿勢。要するに姿勢も悪いと言えますね。

誤解その1
まず、ピーカーブーにはピーカーブーガードとピーカーブースタイルの両方があります。ピーカーブーガードとは両腕をこめかみまで高く構えたこの下の画像の様なハイガードの事です。 murray647.jpgピーカーブースタイルはこのオーソドックスなら左手がこめかみまで来て高く、右手がアゴや頬、こめかみに来たりして、両腕が上下、左右に動きます。説明や画像のみだと理解しづらいので、このマイク・タイソンvsマイケル・スピンクスの試合を見るとよく分かります。マイク・タイソンが一番上の画像の構えではなく、この動画でやっている両腕を高く構えて腕を動かしているのが本物のピーカーブーの構えです。
https://www.youtube.com/watch?v=wac3-bHHBP8

もう一つ付け足すと、この上の画像の構えで腕をあまり動かさない構えはタートルシェルともアメリカで言われていますが、タートルシェルはピーカーブー以上にディフェンス重視で、日本の選手がやっているただのブロッキングスタイルよりも遥かに高度なディフェンス技術を要求される使い手自体そのせいで少ないスタイルですが、それについてはまた別の機会に説明します。それはともかく、昔はガードが高ければ全てピーカーブースタイルでした。今でもそういう風に言えますが、色々な情報は混じって混乱するので名前も変わってきましたね。

本来はピーカーブー=ガード、または手の位置で判断するだけの単純な物でした。ピーカーブーとは日本語で「いないいないばあ」という意味です。その名の通り、その高いガードを閉じて顔面を完全に隠したり、開いて顔を出したりが丁度いないないばあの感じになるわけです。

誤解その2
これは強めに言わせていただきますが、ピーカーブーは馬鹿みたいに最初から上半身を理由も無く、しかも馬鹿みたいに一定のリズムで動かし回したりしません。マイク・タイソンの動画を見れば分かりますが、本来頭も体もあまり動かしていません。動かすのは避ける時、攻撃が来るかもと思う瞬間、フェイント、入り込む時に攻撃の位置を予測しながら頭を動かしたりなどです。要するに、頭をやたら動かしている時は相手が攻撃を打とうとするエリア、もしくは打って来るかもと思うエリアから頭を動かし続けているだけです。常にタイソンの頭部に来る狙いを外しているわけです。だからこそ接近して来るタイソンに下手に手が出せないわけです。ただ上半身と頭部をそんな意図も無く無意味に動かしたらそれに合わせて殴ってくれとまともなレベル相手に言っているわけです。

マイク・タイソンvsトレヴァー・バービック
https://www.youtube.com/watch?v=8AJA9qu1Fr0
動画を見ても分かる様に、攻撃が来ない時は頭と上半身はまるで動かしません。パンチが一切来ない所か来る気配すらないのに上半身と頭を左右に振るのは愚の骨頂で無意味です。アメリカでやればまず何してるんだこいつ?と思われるだけです。

あまり関係無い話ですが、マイク・タイソンのプレッシャーはパンチ力以上に両腕の激しい上下と左右に動かす動きです。そしてたまに相手の攻撃が来る瞬間を予測しながら頭をたまに動かす、つまり常に攻撃を予測して警戒し続けている行動です。つまり、下手に手を出せば避けられてしまう、ガードの使い分けもあって致命打、上手くタイソンを退ける攻撃を当てづらいという理由があるからです。そこにタイソンの強打が加わるからこその更なるプレッシャーです。

ピーカーブー使いの目的
彼らはその激しい手の動き、もしくは致命的な打撃を当てづらい顔面をがっちり守ったガードのまま接近する事でプレッシャーを必ずかけて来ます。それに合わせて激しく動いてくれる事こそがピーカーブー使いの狙いです。ピーカーブー使い対策には激しく動かないとというのはピーカーブーの術中にはまっているだけで不利になるだけです。相手はその激しく動いてくれている状態から徐々に相手を崩していくのがセオリーです。リラックスしてどっしり構えるのが正しいピーカーブー対策であり、全盛期過ぎたタイソン相手で頭突きやクリンチでせこいボクシングをしたとはいえ、ホリフィールドもかなり良い例を試合で見せてくれています。

ピーカーブー使いの主武器
彼らの武器はちゃんとピーカーブーの正しい構えを取れていれば、左フックと左のボディブローです。何故なら出しやすい構えだからです。そしてジャブもしっかり強く出せる状態です。ただ、スリップのやり方と構えからのせいでオーソドックスの場合、右が出しづらくなっています。ピーカーブー使いの右を出すタイミングは真っ直ぐ構えている状態、もしくは左にスリップしている時です。共通しているのは通常と同じかそれよりもより正面を向いているので右のリーチが短く、右を出す時は左に頭を傾けながら多いという事ですね。

ピーカーブーで重要なのは地面を密着な関係を持つ事、つまりバランスです。左のフックやボディブローを打つ時もバランスを崩さず、膝をしっかり曲げてしっかりバランスを保って打ち込みます。押されても簡単にバランスを崩さない状態をキープするという事です。勿論ずっと膝を曲げていつ如何なる時もバランスを絶対に崩さない様な疲れる状態を維持するわけではありません。守る時と攻撃する時、体が密着する時などそういった重要な場面で重臣を移動させてバランスをしっかり保つわけです。

ピーカーブー対策
これは先程も説明しましたが、ピーカーブー相手には例え目の前で「正しく」激しく動かれてもそれに合わせて激しく動かない事です。そしてもう一つはピーカーブー使いの頭の位置をコントロールする事です。彼らは例えば左フックや左ボディを打つのにバランスを保った状態をキープし、体重がしっかり乗る様に打って来るので左腕を伸ばして打って来る様な力の入っていないアームパンチ、つまり腕だけで打って来るパンチはなるべく打ちません。なので入り込んで来てバランスと位置を確保してから打って来るわけですね。難しい事ですが、踏み込んで来たらそれに合わせて強いジャブやストレートなどでしっかり頭の位置を突き放してしまえば攻撃を阻止できるわけです。例えば左ボディ打ちに来たら左ジャブで押し出すなど。

この突き放し作戦は接近して来るインファイター相手全般に当てはまると思いがちですが、ピーカーブーがインファイターの中でも一番嫌がり、嫌う対策です。まあ、他の知恵ノートで説明したスウォーマー対策に似ていますが、やはり動きに合わせて激しく動かない、位置を確保した瞬間か前に突き放す、もしくはクリンチで押さえ込むなどはタイミングも含めて少し異なります。ピーカーブー相手と全く同じつもりで対策したら勝てるかも知れませんし、かなり通用する可能性もあれば、かなり痛い目に合う可能性も高いですね。それと角度と距離のコントロールが上手くないピーカーブー使いはホセ・トーレスがコットンにやられたみたいにボディブローやアッパーを沢山食らうと思います。

他のピーカーブー使い
フロイド・パターソン
ケヴィン・ルーニー
ホセ・トーレス
フェリックス・シュトルム
レイ・マンシーニ

ピーカーブーの正しい構えと動き
拳の向きは通常の構えと同じで相手に小指が向いている状態ですね。左脇を真っすぐ縦にした状態から大きく45度ぐらい開いて左の拳が自分の左眉毛より高いかそれくらいの位置に来ます。右は通常と同じ高さで脇が少し開いてるぐらいです。

そこから両手が回し受けの動きをします。つまり、左手は時計回り、右手は反時計回りに小さく動きます。そこに膝や上半身の体勢を一瞬低く持ってきて元に戻るドロップボディフェイントと言う動きをします。つまり、腕を小さく素早く回しながらそれに合わせて上下に小さく素早く動くと言う事ですね。

これを正しくやる事が出来ればマイク・タイソンそっくりのとても威圧感とプレッシャーを感じさせる動きになります。手で攻撃を叩き落としたり、払いのけたりし、ダッキングやスリップをいつでも試みている動きを相手に常に見せ続けているわけですし。動いている部分は頭では無く、主に膝と両手の2か所だけです。そこに左右にボビングやウィービングとバリエーションも足して行きますが。まずは今言ったやり方がベース、土台ですね。

タイソンの試合を見れば遠距離で激しく両手を動かし上下に主に動いているのがよく分かります。やってみれば想像してたよりピーカーブーは本来体力をそこまで激しく消耗する大きい無駄な動きをしていないのが分かります。表現の仕方は下手になりますが、ビクビクっと言う動きで両手と体を動かしますね。要は相手のリズムに合わせて避けるか受ける動きを合わせているわけですね。

捕捉
ホセ・トーレス
https://www.youtube.com/watch?v=azpwbKcBOHo
彼はまさにタイソンの周りが認識するピーカーブーを使っていると思われていますが、ガードの位置、高さが違います。ちゃんと高い位置に基本的にあるピーカーブーガードです。カスダマトは最も背の低いタイソンの為に彼にはより低い位置で両拳を構える様にさせています。

タイソンの場合、この構えの位置が低いからもうピーカーブーでは無い、実質本当のピーカーブーとアゴを主に守る構えの2種類を使い分けている形になっているわけです。これがパターソンやトーレスなどと違ったタイソンの構えの違いと正体です。

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